仏教のお話には現代社会をよりよく生きていくためのヒントがたくさん隠されています。遠賀中央幼稚園では月に1回、仏教のお話(ののさまのお話)をする時間を設けており、子どもたちの普段の様子を反映したり、時事ネタを交えたりしながら、楽しみながら仏教説話に触れています。
こどもたちに仏教のお話をするのは現役僧侶でもある、IKKO先生です。
今月の ののさまのお言葉・テーマ
耳はふたつで口はひとつ
※このお話で身体の部位の数について触れていますが、あくまでたとえ話なので特定の個人団体を傷つける意図はありません。
IKKO先生「今日のののさまのお話は合掌聞法と持戒和合というお話です。お話をよく聞いて、きまりを守って仲良く過ごしましょうという意味があります。」
IKKO先生「お話をする前に皆さんにクイズです。」
IKKO先生「みんな、自分の目はいくつある?」
子どもたち「2つ〜」
IKKO先生「耳は?」
子どもたち「2つ〜」
IKKO先生「じゃあ、口は??」
子どもたち「ひとつ〜(笑)」
IKKO先生「なんで??」
Aくん「だってお口は一つだもん!」
Bちゃん「お口が二つあったらきもちわるい、、、」
Cちゃん「お口が二つあった食べ物がこぼれる!」
Dくん「ちゃんとお話を聞くため」
IKKO先生「えっ!もう一回言って!?」
Dくん「自分がお話しするより、ひとのお話をちゃんと聞くため!」
IKKO先生「Dくん。大正解!!拍手〜〜〜」
ぱちぱちぱちぱち
IKKO先生「しっかりと自分の言葉でお話しすることもとっても大事です。とくにきまりを守ったり、お友達と仲良く過ごすためには人のお話をちゃんと聞くことがとても大切です。」
IKKO先生「ひとの話をちゃんと聞くための姿勢もあります。ひとのお話を聞くときは誰の方を向くんだっけ??」
子どもたち「お話ししているひとの方〜」
IKKO先生「そうです。お話をしているひとの方を向くとふたつのお目々とお耳でちゃんとお話を聞くことができます。これからみんなが大人になってもこのお話を聞く姿勢はとっても大切です。」
IKKO先生「お部屋に帰っても、おうちに帰ってもしっかりお話を聞くことができる様に過ごしてみましょう。」
IKKO先生「これで今月の、のの様のお話を終わります。お話を聞いてくれてありがとうございました。」
解説
今月のお話は『合掌聞法(合掌して法を聞く、転じて人の話を聞くときはそれ相応の態度で聞く)』『持戒和合(戒を持ち和合する、転じてルールを守ってお互いに尊重し合いながら過ごす)』という仏教の教えを「口は1つなのに耳は二つあるのはなぜか?それは自分が話す倍だけひとの話を聞かなければならないからだ」というユダヤのことわざを交えて子どもたちにお話ししました。
人間は自分の話を聞いてもらいたくて、一方的に話してしまいたくなるものです。最近は不要不急の外出が減り、誰かに自分の話を聞いてもらいたいという欲求がある方も少なくないのではないでしょうか?
「話す」という欲求は誰しも持っている物で、簡単に抑えられる物ではありません。「口は災いの元」ということわざもあるぐらいなので、古来より気をつけられていたのでしょう。
反面、「聞く」という行為はなかなかストレスのかかる行為です。話を聞こうとしないと、人の声であっても、ただの音として右から左に流れていってしまします。
子どもたちとのやり取りでもありましたが、聞く力というのは大人になっても使える技術です。まずは聞くために姿勢を正し、しっかりと向き合って「あなたの話をきいているよ」という言葉によらないメッセージを発信してみましょう。